お客様事例

データ分析の高速化により、勝利を手中に収めるマクラーレン・レーシング

300M

コースサイドの分析で3億回のレースシミュレーションをサポート

118億

レースパフォーマンスを最適化するために統合されたデータポイントの数

300

10 万ものデータパラメーターを生成する、各マシンに搭載されたテレメトリーセンサーの数

データ主導の意思決定を圧倒的なスピードで実現

50 年前、Bruce McLaren 氏はわずか数人のエンジニアとともに、レーシングカーを設計および製造し始めました。 そして今日、マクラーレン・レーシングは F1 世界選手権で20 勝、グランプリで 182 勝を挙げ、800 人以上の従業員を抱える規模にまで成長しました。 マクラーレン・レーシングのレースにおける伝説的な成功は、絶え間ないイノベーションの追求の結果であり、同社は戦略的技術提携を積極的に結び、パフォーマンスの向上を図ることで、常に画期的なテクノロジーの開発をリードし続けてきました。

週末に開催されるF1レースは年間20戦以上にも及び、1レースあたり1.5TBものデータが生成されるため、こうした膨大な量のデータの効率的な収集、処理、活用を可能にするソリューションは欠くことのできない存在です。マクラーレンF1チームでは、Alteryx Analytics Automation Platformを使用して、サーキット内外で戦略的な意思決定を加速させています。

「IT は、ビジネスのより良いあり方を実現し、熾烈な競争を勝ち抜く上で、極めて大きな役割を担っています」と、マクラーレンレーシング のビジネステクノロジーディレクターである Dan Keyworth 氏は語ります。 「設計、製造、レースを成功に導くためには、データの活用が不可欠です。 高速で動くレーシングカーからデータパラメータを取得し、より高いパフォーマンスをもたらすエンジニアリングのノウハウを見出すことができれば、圧倒的な競争優位性を築くことが可能となります。 その実現において Alteryx による高度な分析は欠かせないものとなっています」。

Alteryxを利用するメリット
設計、製造、レースにわたって強力なインサイトを獲得

あらゆる段階のパフォーマンスを追跡し、データに基づいた迅速な改善を実現します。

コーディングの知識は一切不要

コーディングの経験に関係なく、誰もがデータから簡単に価値を引き出し、インパクトを生み出せます。

F1の予算上限の枠内で競争力を維持

高度な分析により、新時代のレースにおけるパフォーマンスとコンプライアンスを実現します。

マシンの設計、製造、レースに役立つインサイトを獲得

デザイン

F1 のレーシングカーには 8 万個ものパーツが搭載されており、レースシーズン中には、そうしたマシンパーツの実に 90% に変更が加えられることとなります。設計、製造、レースといった一連のプロセスを成功に導くためには、高度な分析能力が極めて重要です。

今後のレースの展開を予想し、あらゆるシナリオをテストするために、平均 3,000 万回ものレースシミュレーションが行われています。 こうしたシミュレーションに用いるデータは、スーパーコンピュータ、風洞実験、数値流体力学(CFD)、ドライバー自身のデータなど、多岐に渡るデータソースから収集する必要があります。 「Alteryx では、あらゆるデータセットを迅速に統合して活用できるため、レースシーズン中に継続的にパフォーマンスを向上させるために、どのような変更を加えるべきかを十分な余裕を持って検討することができます」と、マクラーレン・レーシングのコマーシャルテクノロジー部門責任者の Edward Green 氏は説明します。

製造

レーシングカーの製造プロセスにおいては、マシンパーツに関する膨大なデータが、マクラーレンの工場や外部のサプライヤーから集約されます。 こうしたデータの形式は往々にして一貫性がなく、コストの把握や追跡を困難なものにしています。 Alteryx では、自動化によりこれらの多様なデータセットを効率的に収集・処理し、マシンパーツの生産在庫やパフォーマンスの正確な追跡を実現することが可能です。

コストキャップ(予算制限)がある中でのオペレーションでは、パーツ製造時の意思決定においてコスト面の制約が常について回ります。 そこでマクラーレン F1 チームでは、パーツの製造における意思決定の参考として、パーツの仮想シミュレーションを行い、数値流体力学(CFD)を使用して、マシン上の仮想のパーツを通過する空気の流れをモデリングしています。 CFD の実行時間は F1 の運営組織によって制限されているため、このプロセスは可能な限り効率的に進める必要があります。 パーツがこれらのテスト工程に合格した段階で、マクラーレンはそのパーツの製造に着手し、風洞実験を通じてさらにテストを重ねます。 より多くのデータが集約され、各テストでパーツの性能が実証されると、正式な製造決定が下されることとなります。

「レースの週末には、その部分から収集されたデータを他のセンサーパラメーターと組み合わせて、それが実際の規模でどのように動作するかをテストします」とGreen氏は語ります。「Alteryxを使用することで、物理的データ、バーチャルのデータ、レースの実際のデータを組み合わせて、最適な効率を生み出し、可能な限りパフォーマンスの高いレースカーを構築することができます」

レース

レース週に入ると、各レーシングカーには 300 個のテレメトリーセンサーが搭載され、エンジンのパフォーマンス、燃料の容量、燃焼温度、コーナリング時の G (重力加速度)など、10 万にも上るパラメーター情報が生成されるようになります。 これらのデータはコースサイドで Alteryx によって処理され、(ドライバーとコミュニケーションを行う)ドライバーエンジニアや、リーダーシップチームやレース戦略チームが控えるピットウォールにリアルタイムで伝達されます。 このようなシームレスなデータの提供プロセスにより、チームが表彰台への挑戦においてより有利となる情報をほぼリアルタイムで得て、意思決定を行うことが可能となり、2021 年 9 月のイタリア GP では 1 位と 2 位を獲得しました。

データ分析の活躍はサーキットのみにとどまらず、 英国サリーのマクラーレン・レーシング本社に在籍する 30 人の社員は、レース前日の金曜日に行われるフリー走行でテストしたパーツをさらに分析し、マシンの仮想シミュレーションで収集したデータとの関連付けを行っています。 このチームでは、Alteryx と空力モデルの相関関係を使用して、あるパーツのサーキットでの実際のパフォーマンスと、元々想定していたパフォーマンスとの差分を分析しています。 これにより、パーツのパフォーマンスを最大化するために、コースサイドで行うチューニングの度合いを決定することが可能となっています。

厳しいコスト制限のあるオペレーションにおいて、コストを抑えながら効率性を高めるためには、あらゆる機会をうまく活用していかなければなりません。 Keyworth 氏は、Alteryx の予測分析機能を特に高く評価しています。 「Alteryx の分析ツールを活用すれば、特定の条件下やサーキットコースで、どれだけの摩耗が発生する可能性があるかを予測することができます。 そして、分析から得たインサイトに基づき、スペアパーツをあと何個製造すべきかを決定することができます。 最初から10 個と決めて製造するのではなく、ほぼ確実に使われる分だけを製造できるのです。これは、サステナビリティの観点からも理にかなっています」。

レースの新時代を牽引する高度な分析

2021年以降、すべてのF1チームは、世界のモータースポーツ統括団体であるFIAが定めた1億4,500万ドルという厳しい予算枠のもとで運営を行わなければならなくなりました。こうしたレギュレーションの変更は、あらゆるチームにとって大きな試練となっており、競争のさらなる激化が予想されています。マクラーレンにとって、このような予算の制限は、パフォーマンスを向上させながら運営コストを抑えるための革新的なテクノロジーを評価する機会となりました。そしてGreen氏は、複数の異なるソースからのデータを統合し、データ主導の意思決定を大規模に行うことを可能にするAlteryxプラットフォームに活路を見出します。「私の仕事は、ビジネスをより効率的にするITツールやプラットフォームを提供することです。ローコードの分析プラットフォームを導入すれば、すべてのビジネスユーザーが面倒なデータ準備から解放され、レースに勝利するという最終目標に向けたアウトプットに集中することが可能になります」

Alteryxの導入における手軽さやスピード感、独自のデータを活用してスキルアップを図れるモデルに非常に感銘を受けました」とGreen氏は語ります。「私たちのチームは、ダミーデータを用いたワークショップに何時間も費やすことなく、実際のシナリオを用いながら、すぐにプラットフォームの機能を試すことができました」

こうした「共同操縦」方式によるアップスキルの機会を通じて、誰もが短時間で Alteryx を使いこなせるようになっただけでなく、Alteryx のソリューションエンジニアのサポートにより、マクラーレン・レーシングの業務部門全体にわたりユースケースを簡単に特定することができました。 さらに、コードの知識不要で簡単に操作可能なインターフェースにより、マーケティング、ソフトウェア、IT、航空力学、デジタルトランスフォーメーションなどのさまざまな部門への導入をスムーズかつスピーディに進めることができました。

Alteryxによって、社内のデータ活用による問題解決のアプローチが一変しました。コスト制限の影響もある中、こうした変化をもたらせたことは大きな強みとなっています」と、Green氏は語ります。

新たな高みへ:レースの枠組みを超えた最適化に向けて

Alteryx の活躍はモータースポーツ分野のみにとどまりません。マクラーレンでは、財務やマーケティング部門でも Alteryx プラットフォームを介して業務の効率化やインサイトの強化に取り組んでいます。

F1 ファンは、スポーツ業界で最も忠実かつ情熱的であることで知られています。 そうしたファンのデータをより深く理解するために大きな効果を発揮しているのが Alteryx の地理空間分析機能です。 ファンとライフスタイルパートナー(スポンサー)の位置情報を関連付けることで、マーケティングチームは新たなエンゲージメントの機会を創出することができます。

「ライフスタイルパートナーがある都市に拠点を持っており、多くのファンがその近くに住んでいる場合、そのパートナーの施設でのイベント開催を検討するかもしれません」と、Keyworth 氏は説明します。 「世界的なパンデミックの最中で、革新的な取り組みを通じて、ファンの皆さんにスポーツを身近に感じていただくことはとても有意義なことです」。

Alteryx プラットフォームは、財務チームでも幅広く活用されており、規制や商業的なニーズへの対応に大きな成果を上げています。 「財務や法務のプロセスは当社のビジネスに大きな影響をもたらします。そして、それらすべてに膨大なデータが関与しています」と、Keyworth 氏は述べています。 「Alteryx は、金融業界に大きな顧客基盤を持つだけでなく、特殊な金融問題を支援できる戦略的パートナーも多数抱えています。 Alteryx とのパートナーシップを通じて、マクラーレン・レーシングの組織全体の連携と俊敏性を継続的に強化できることに大きな期待を寄せています」。