多くの企業が分析環境を改善しようとする中で、
さまざまな困難に直面しています。マッキンゼーが実施した調査によると、企業が優先的に取り組むべきスキルギャップとして、データ分析が最も多く挙げられていることがわかりました。
しかし、変革を起こすことは簡単ではありません。約 70%ものデータ分析施策が失敗に終わっており、平均的なDX施策では 45%の確率で期待していたほどのメリットが得られないと言われています。
このように変革が失敗に終わる主な要因のひとつとなっているのが分析におけるスキルギャップです。今回は、社内のスキルギャップがボトルネックとなっているミッションを成功に導くためのベストプラクティスをご紹介します。
スキルギャップ分析の実施
スキルギャップは避けられないものです。現在、43%の企業がスキルギャップの課題に直面しており、それ以外の企業でも87%が今後5年以内にスキルギャップに悩まされるようになると言われています。
まずは現状を把握するために、以下の手順でスキルギャップの分析を行うことをおすすめします。
1. 現在、そして将来にわたって業界内で競争力を維持するために必要なスキルを特定する
現在、そして 5 ~ 10 年先に必要となるスキルを検討します。 データサイエンス (DS)、機械学習 (ML)、人工知能 (AI) など、分析に関する取り組みを含めるようにしてください。
2. 個人やチームの現在のスキルを評価する
役職や役割にとらわれずに、評価を行いましょう。 各人がチームにもたらす経験や知識は多岐に渡ります。 次に、チームの評価を行います。 今後 5〜10 年の間に、各チームが目標を達成するために何が必要かを考えてみてください。
3. 現在の分析テクノロジーを評価する
スキル分析を通じて、目標を達成するために必要なテクノロジーを選定します。 現行のテクノロジースタックがギャップを悪化させることもあれば、解消することもあります。 現在の分析ソリューションが、スキルギャップ、人材の維持、将来の雇用に、どのようなマイナス・プラスの影響を及ぼすかを検討してみましょう。
ギャップに対処するための計画を立て、組織内の足並みを揃える
対処すべきギャップを把握したら、組織内で計画に対する認識を揃えることが重要です。
以前のブログでもお伝えした通り、変革が失敗する主な原因は以下のとおりです。
- Unspoken disagreement among top managers about goals
- A divide between the digital capabilities supporting the pilot and the capabilities available to support scaling it
このような状況に対処するためには、組織と連携して以下を実施することをおすすめします。
1. 分析による変革の目標と成果を明確に伝える
どのような成果を達成したいと考えていますか? また、そのための時間的猶予はどのぐらいですか?まずは1つのプロジェクトで小さく始めるのがベストですが、成功を確実なものにするためには長期的な計画や目標を持つことが重要です。例えば、各チームに機械学習の経験を持つメンバーを少なくとも1人確保する、説明可能なAIのベストプラクティスを導入する、などの目標が考えられます。
2. 部門やチームの目標を揃える
各チームがデータ分析に習熟することを目標の 1 つとしているのであれば、その達成に役立つトレーニング、リソース、テクノロジーへのアクセスの提供が不可欠です。 目標の達成に何が必要となるかを把握することで、チームやデータ業務担当者の期待に応え、計画を円滑に進められるようになります。
3. 期待値を設定する
明確な期待値を設定することで、成功の可能性が格段に高まります。 例えば、機械学習の基本的な概念を理解する、週に 30 分のトレーニングに参加する、チーム主導のデータ戦略を立てる、などが考えられます。
変化を起こすべき理由をより多くの人が理解するほどに、変化の促進に役立つ情報を得やすくなります。さらに、変化が成果の達成に役立つ可能性が高まるほどに、チームの関与度が向上し、変化を受け入れる可能性が高くなります。
機会の特定
分析による変革の目標が十分に明確化されていなかったり、曖昧すぎたりすると、失敗する可能性が高くなります。
全社的な変革を促すには、小さなことから始めて規模を拡大することをおすすめします。最初のプロジェクトは、データの準備やレポート作成など、時間のかかるプロセスを自動化するような簡単なものでかまいません。
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「簡単にできるけれど、時間のかかること」に着目し、それを改善することで、時間を節約し、その時間を他の分野に使うことができるようになります。
また、スキルギャップがボトルネックになっている場合に、小さなことから始めることで、理解を得られやすくなるだけでなく、期待値も明確化できるようになります。
ソリューションの選定
スキルギャップを特定し、チームの目標を定め、改善すべき領域を特定したら、あとは適切な分析プラットフォームを見つけるだけです。
新しいプラットフォームの選定や現在のソリューションの見直しに際しては、以下の点を確認することをお勧めします。
簡単に拡張できるか
ユーザー基盤の拡大に合わせて、容易に拡張できるプラットフォームであることが肝心です。 また、分析の変革を促進し、スキルギャップを解消するためのサービスを提供しているかどうかも重要です。
例えば、「反復的なデータ作業を自動化できるだけでなく、機械学習機能も利用できるか」、 「データ業務担当者、リーダー、経営陣など、社内の誰でも簡単にさまざまな用途に利用できるか」といった点に着目してみましょう。
ビジネスの成功に役立つか
離職や新規採用によって生じるスキルギャップに対処可能であり、 新たな人材の獲得、育成、維持に役立つプラットフォームを選びましょう。
共同作業が可能か
テレワークの普及により、ビジネスで成功率を上げるために不可欠な共同作業が困難になっています。
円滑なコラボレーションを実現するには、アセットの共有や、データ・プロセスの説明が容易に行え、時差や地理的な制約に縛られずに作業できるツールを備えたプラットフォームを選びましょう。
まとめ
社内のスキルギャップに向き合いながら分析環境の構築を推進するためにはさまざまな課題を乗り越えなければなりません。
このような課題に対処するためのソリューションに投資する前に、一歩下がって状況を把握し、チーム内の認識を合わせ、高い価値をもたらすが時間のかかるユースケースを特定することが重要です。 それができれば、チームが分析を活用するステージへとステップアップできるようになるでしょう。