クラウド分析(cloud analytics)とは?

クラウド分析を利用することで、クラウドに保存されたデータを分析に利用したり、クラウドの高速コンピューティングパワーを活用して、分析をスピードアップしたりできるようになります。これまでは、データをオンプレミスのデータセンターに保管することが一般的でしたが、こうした物理サーバーの容量には限りがあり、運用コストがかさむだけでなく、データ関連の処理を行う際に多くの時間がかかるといった課題がありました。

データの爆発的な増加に伴い、ビジネスにおけるより大規模なデータ保管機能と、より迅速なインサイトの獲得へのニーズが高まっています。クラウドの台頭により、企業はインターネットを通じて強力なリモートサーバーにアクセスできるようになりました。クラウドデータウェアハウスやクラウドデータレイクなどのクラウドデータストレージセンターが登場し、あらゆるソースからのデータを一元化し、データを安全に保管するとともに、データの提供と利用方法を一新させることが可能となりました。高額な物理サーバーに代わり、クラウドを迅速かつ拡張可能でコスト効率の高い手段として採用することで、これまで不可能だったクラウドベースの分析プロセスを実現できるようになります。

クラウド分析の種類

クラウドベースのデータ分析は、データアクセスから可視化まで、分析ワークフローのあらゆる段階をカバーすることができます。クラウド分析の多くの分析ツールでは、クラウドのストレージや計算能力を活用し、柔軟な拡張性とリアルタイムのインサイトの獲得を実現できます。

例えば、人気のクラウドデータストレージプラットフォームであるSnowflakeを利用してデータを保管し、次にノンプログラミングで利用可能な分析自動化プラットフォームであるAlteryxでデータを処理して分析モデルを構築し、最後にTableauのようなデータの可視化およびビジネスインテリジェンスツールを使用してインタラクティブなダッシュボードを作成し、得られたインサイトを関係者と共有することができます。

企業が利用できるクラウドインフラには以下の3種類があります。

  • パブリッククラウド: パブリッククラウドは、第三者が運用し、インターネットを通じて一般に提供するコンピューティングサービスおよびインフラです。通常は無料ですが、追加の機能やストレージを有料で利用できる場合もあります。
  • プライベートクラウド: プライベートクラウドはパブリッククラウドと同様のメリットが得られると同時に、より高いコントロールとセキュリティを提供します。プライベートクラウドには、第三者がインターネットを通じて提供するサービスや、企業内部に設置された物理的なオンプレミスサーバーなどがあり、これらは通常、パブリッククラウドよりもはるかに高価です。
  • ハイブリッド・クラウド: ハイブリッドクラウドでは、使用状況に応じてパブリッククラウドとプライベートクラウドの両方が使用されます。たとえば、非機密データの保存・アクセスには、コストが低いパブリッククラウドを使用し、機密性の高い情報の保存・アクセスにはプライベートクラウドを使用するといった具合です。

クラウド分析の仕組み

データ分析の各段階で、データの保存や処理にクラウドを利用することが可能ですが、特に効果的なメカニズムとして、ETL(抽出-変換-書き込み)とプッシュダウン処理があります。

クラウドが普及する前はETL、つまり抽出-変換-書き込みの手順でデータを保存し、データパイプラインを構築することが一般的でした。ETLは、サイロ化されたレガシーソースからデータを取り出し、特定の形式でデータウェアハウスに書き込むプロセスですが、データが特定の用途に限定され、IT部門のみでの利用にとどまりがちといった問題がありました。しかし、ビッグデータの重要性が高まり、リアルタイムのインサイトがますます必要とされる中で、企業の各部門がビジネスの重要な課題に対応し、データに基づいた意思決定を行うためには、迅速にさまざまな形式のデータにアクセスできることが求められるようになっています。

ETLで、複数のユースケースに対応したり、迅速にデータの取得や処理を行うことは容易ではありません。ETLの基本的な手法、つまりレガシーシステムからデータを取り出し、データリポジトリにロードして変換する作業は依然として重要ですが、クラウドを導入すればこうしたプロセスの手順を変更し、大幅な最適化を実現できます。

ELT(抽出-書き込み-変換)は、いわゆる「プッシュダウン処理」と呼ばれるプロセスであり、「T」つまり「変換」のパートをクラウドのコンピューティングパワーで処理します。プッシュダウン処理では、ワークロードがクラウドデータウェアハウスに「プッシュ」されます(押し出されます)。プッシュダウン処理を利用するデータ分析ワークフローでは、各自のコンピューター上ではなく、クラウドデータウェアハウス上で処理を行うことで、処理を大幅に高速化できます。

プッシュダウン処理は、処理時間を大幅に短縮(通常最大90%)し、処理コストを劇的に削減します。変換作業前にデータをクラウドデータウェアハウスまたはクラウドデータレイクに取り込むことで、データを複数の目的で使用するだけでなく、他の変換作業によって重要なデータを失うといったリスクも防げるようになります。

クラウド分析の主要な利点と拡大に向けたアプローチ

社内の誰もが、部門や役割、スキル、場所を問わず、データと分析にアクセスし、活用できるよ環境づくりが急務となっています。そして、クラウド分析ソリューションは、このようなデータの民主化を実現するために中心的な役割を果たします。クラウドをデータ分析プロセス全体に活用することで、データに基づく経営判断をより効果的に行うことができるようになります。以下に、クラウドベースの分析を採用し、その使用を拡大することで期待できる主な利点を挙げます。

  • データへのアクセスの民主化と分析の自動化:IT部門に依存して分析プロセスやデータセットにボトルネックを生じさせることなく、社内の全ビジネスユーザーがデータにセルフサービスでリアルタイムでアクセスし、さまざまな目的にデータを活用して成長を加速できるようになります。
  • データリポジトリの一元化:レガシーシステムや孤立したソースからのさまざまなデータを一箇所に集めて保存することができ、データの管理、セキュリティ、アクセスが容易になります。
  • 大幅なコスト削減:クラウドの柔軟な拡張性により、必要な分のストレージに対してのみ費用を支払い、ビジネスの成長に合わせてクラウドの利用を拡大することが可能です。また、大規模なデータプロセスを効率的に実行できるため、従来のオンプレミス分析でかかっていたようなコストを節約できます。
  • 価値を生み出すまでの時間を短縮:従来の手法では、大規模なデータセットの分析には何十時間もかかることがありましたが、クラウドコンピューティングの力を利用することで、同じデータセットをわずか数分で分析できるようになり、データのシームレスな活用とより良い経営判断が可能になります。

Alteryx Designer Cloudでインサイトを変革

Alteryx Analytics Cloudは、ビジネスに関わるすべての人に強力で使いやすいデータ分析機能を提供するクラウド分析ソリューションであり、チーム間でのコラボレーションを加速させ、企業全体でのエンドツーエンドの分析ソリューションの活用を実現します。統合型のエンタープライズソリューションとして、データ準備・分析の自動化、使いやすい機械学習、インタラクティブなデータストーリーを交えたインサイトの自動生成機能などを提供します。

Alteryx Analytics Cloudの主な機能

すべての人にセルフサービス分析を

  • 直感的な操作を可能にするドラッグ&ドロップ操作や分析アプリケーションを通じて、職務やスキルのレベル、部門に関係なく、誰もが分析プロセスに関わることが可能になります。
  • ユーザー同士がコミュニケーションを取り合い、協力することで、部門を超えた包括的な分析ビジネスの取り組みをサポートできるようにします。
  • 40万人近くのデータエキスパートと交流できるAlteryxコミュニティでは、ベストプラクティスや分析テンプレート、ヒントやコツ、アドバイスなどを入手し、社員が効率的にスキルアップを図ることができます。

統合プラットフォーム

  • お好みのウェブブラウザからアクセスできるクラウドネイティブでセルフサービス方式のデータエンジニアリング、分析、データサイエンスにより、誰もがデータをビジネスインサイトへと生まれ変わらせることができます
  • 多様なデータソースを組み合わせて準備し、分析のためにデータを強化します
  • 分析、地理空間データ、使いやすい機械学習を用いて、より予測的なアプローチを取り、将来の需要を予測することができます
  • AI(人工知能)から得られたインサイトを組織全体で共有し、データに基づく意思決定を加速させます

エンタープライズレベル

  • 優れた柔軟性と拡張性、最高水準のセキュリティとガバナンスを備えており、既存のデータおよび分析アーキテクチャにシームレスに統合できるエンタープライズレベルのプラットフォームでチームを強化します
  • クラウドとオンプレミスの多様なデータセットに接続でき、RESTやJDBCフレームワークを利用してさらに拡張することが可能です
  • オンデマンドかつセルフサービス方式により、ユーザーオンボーディングをスピーディに進められます
  • シンプルで柔軟なライセンス体系とパッケージの提供により、進化するビジネスニーズに迅速に対応します

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