ライトアップされた街で、スマートフォンでNFT投資ウォレットを使用している女性。ブロックチェーン技術を活用し、暗号通貨でNFTに投資を行っており、デジタル資産、アートワーク、デジタル台帳といった分野に力を入れている。画面には暗号通貨市場での下降トレンドが表示されている。
お客様事例

RSM社がAlteryxで暗号とブロックチェーン取引を解読する方法

99%の時間節約

データ処理の自動化により大幅な時間短縮を実現

85%削減

Alteryxの活用により、エラー率が激減

RSM社は、中堅企業向けに特化したグローバルな税務および監査法人であり、保証、税務、コンサルティングサービスを専門としています。1926年にアイオワ州シーダーラピッズで創業して以来、着実に実績を積み上げ、現在は120カ国に57,000人の従業員を擁し、「人間の洞察力を原動力とする未来志向のテクノロジー」を提供しています。

RSM社はクライアント企業に「理解される力」を提供することを信条としており、それにより各社の状況を深く理解し、それぞれの環境に適したアイデアと洞察を提供することで、将来に向けて自信を持って決断できるよう支援を行っています。

「ワイルドウエスト」から抜け出し、標準化を確立

暗号通貨は今や広く普及しており、世界中で約4億人の個人や組織が少なくとも1つの暗号資産を保有していると言われています。そして一部の人々の間では、暗号資産の取引においては、匿名のブロックチェーン台帳に取引が記録されるため、税金がかからないという誤解が生まれています。

これは全くの誤りであり、実際には、世界中の税務当局が暗号から得られる収入に対する取り締まりを強化しており、個人や組織が取引を追跡し、税務への影響を判断するという負担が生じています。

税務準備を行う企業の多くが、急速に増加する暗号通貨取引を効率的に分析する方法を模索しています。RSM社もかつて同様の課題に直面し、約200件の取引を2週間かけて手作業で解読しなければならず、そのエラー率は約50%にも達していたことから、より効果的な方法を見つける必要があると感じていました。

RSM社の先進税技術センターマネージャーであるZack Szykowny氏は、次のように語ります。「ブロックチェーンからデータを取得していますが、当時は混沌として標準化されておらず、まさに『ワイルドウェスト』さながらでした。決まったやり方法も存在せず、未定のことだらけでした」

また、同社の金融サービス税マネージャーであるAlula Zeryihun氏は次のように振り返ります。「ウォレットアドレスは多種多様で、ほとんどのブロックチェーン間で標準化が進んでおらず、頭痛の種となっていました。さまざまな取引と活動を照合するために、手作業でエクセル表を作成しなければなりませんでした」

そこでまずは、「どうすれば人々を力づけ、もっと付加価値の高い作業を行えるようになるか?データのコピー&ペーストにひたすら時間を費やすのではなく、そのプロセスをどうやったら効率化できるか?どうすればプロセスを効率化できるか?」という観点で取り組みを開始しました。

RSM社のチームは、複雑なブロックチェーンデータを整理、解読、標準化することを目指し、Alteryxを導入しました。「どのようにして、全活動をスムーズに分類できる標準形式を作成するかが課題でした」(Zeryihun氏)

そこでAlteryxは、RSM社が手動作業への依存を減らし、ブロックチェーン取引をリアルタイムで追跡し、分析にかかる時間や複雑さを大幅に減らすことのできる信頼性の高い自動分析を導入できるように支援を行いました。

効率化、自動化、時間の節約

RSM社は、税務専門家チームと協力して、さまざまな活動の適切な分類を考案し始めました。そして、必要なすべての税務書類、レポート、および関連書類を作成できるように、データをデジタル追跡アプリの形式に変換し、取り込むための方法を確立させました。具体的な手順は以下の通りです。

  • RSM社は、クライアントとそのニーズに応じて、2つの種類の入力のうちどちらかを提供するようクライアントに依頼しました。Coinbaseのような中央集権型取引所を利用するクライアントには、全取引を含むCSVファイルの提供を依頼しました。一方、非中央集権型ブロックチェーンやウォレットを使用しているクライアントには、活動しているウォレットアドレスを提供してもらい、ブロックチェーンノードから完全な取引履歴を取得するようにしました。
  • その後、RSM社が開発したアプリをAlteryx Serverに接続し、特定の取引所やウォレット専用に設計されたETLプロセスを実行しデータの標準化とデコード形式への変換に重点を置きました。
  • 分析結果を適切な税区分を備えた標準形式で、RSM Digital Trackerアプリに直接送信し、サードパーティの評価APIからデータを取得することによって、正確な税額を計算できるようになりました。

Szykowny氏は次のように述べます。「チームのスピードを遅くしていた手作業のプロセスから解放されました。今では、あらゆるデータをRSM Digital Trackerの標準形式に変換し、取り込んでいます。Alteryxは、どんな複雑な変換にも対応しているため、あらゆるデータを簡単に標準形式に変換し、RSMビジュアルトラッカーに送り込むことができます。結果として、取引のキャピタルゲインや損失をリアルタイムで追跡し、3つの異なる税金方法で計算し、税申告書に添付するレポートを生成できるようになりました」

Alteryxのインパクトは絶大だったとZeryihun氏。以前は数週間かかっていた税務レポートやフォームの作成を、自動的に生成できるようになり、精度も各段に向上したそうです。「Alteryxを使用して、数百時間かかる作業を10時間未満で完了できるワークフローを作成しました。お客様には大変ご満足いただいています」

Szykowny氏は、時間短縮が目に見えるインパクトにつながったと言います。「お客様は、かつて一度に5,000ものレコードをダウンロードし、目視で確認していたのです」

RSM + Alteryxでの変革による成果

Alteryxの導入により、RSM社は手作業での時間のかかるプロセスから信頼性のある自動化へと移行し、アナリストが数分で暗号通貨やブロックチェーン取引を解読できる環境を実現。こうした画期的な進歩によって、暗号通貨の税額計算作業を簡素化しただけでなく、税務関連の用途を超えて、広範な分野に応用できるようになったそうです。

特に、ブロックチェーンエコシステム全体での標準化と効率化を図れるようになったことに大きな可能性を感じているそうです。従来の表計算ソフトなどのソリューションを使用して行われる手作業や照合作業にはまだまだ改善の余地がたくさん残されています。「Alteryxのような強力なソフトウェアを使えば、誰もがより機敏に行動し、より少ない手間で多くを成し遂げるられるようになります」(Zeryihun氏)

また、チームが自動化を始める前に、社内での説得作業が必要だったそうです。Alteryxを使えばすぐにワークフローと解決策を作成し、提示できるため、プロトタイピングの初期段階で「こういったことならすぐに実現できる」と、周囲の理解を得るうえで大いに役立ったそうです。

そして、シンプルなフロントエンドを備えたデジタルトラッカーアプリを作成することで、取り組みの民主化と拡大に成功しました。それにより、同僚たちがAlteryxの専門家である必要も、ツールの使い方を熟知している必要もなく、価値を引き出せるようになりました。「彼らの日常はAlteryxとは関係ありません。しかし、バックエンドから、私たちが構築したソリューションを通じて従業員に力を与えることができるのです。本当にパワフルです」(Zeryihun氏)

Alteryxとの協業を始めて以来、チームは税金に関するユースケースだけでなく、他の用途にも応用範囲を広げているそうです。「監査チームやコンサルティングチーム、つまりお客様にサービスを提供するスタッフと話し合いながら、付加価値を高めるユニークなアプローチを考案しています」(Zeryihun氏)

Szykownyは、チームが複雑なデータを標準化できるようになったことで、社内の誰もが自信をもってデータを活用できるようになり、組織変革の加速につながったと振り返ります。「標準化によって、さまざまな事業分野での応用が可能になりました。新しいことに慣れることは簡単ではありませんし、特に自動化は、私たちが抱える最大の課題の1つです。新たなことに慣れてもらうという課題はありますが、チェンジマネジメントは常にどんな種類の自動化においても必要です。Alteryxを使えば、人々が自信を持って成果物を作成できるようになります。

Alteryxを利用するメリット
スピードと正確さ

税務レポートの作成において繰り返し可能なワークフローを構築し、スピードを飛躍的に向上させるともにエラー率を大幅に低減

使いやすさ

データのスキルを問わず、RSM社のあらゆる社員が、ツールを活用してデータを収集し、自身で簡単なレポートを作成し、チェンジマネジメントの取り組みに貢献

より広範な効率化

税務チームからスタートし、効率と標準化を推進することで他部門にも価値を拡大