お客様事例

コパ航空、Alteryx でデータ活用をさらなる高みに

ユースケースの概要

このユースケースでは、パナマの国営航空会社であるコパ航空が、Alteryx を使用して価格設定、収益管理、予約管理などの主要業務のプロセスを大幅に改善した方法をご紹介します。 同社のチームは、レポート分析を自動化・最適化したり、運賃申請時のミスを最小限に抑えたり、完売寸前のフライトを予測したりするなどの成果を挙げていますが、これらの業務上のメリットはほんの一例にすぎません。 同社は、手作業を大幅に削減し、意思決定プロセスのスピードを改善したことで、生産性の飛躍的な向上を実現しています。

ビジネス上の課題や解決する必要がある問題について説明してください。

データインサイト

コパ航空は、北・中南米 32 か国の 80 都市に就航しています。 2014 年当時、コパ航空のアナリストは、手作業で何百ものファイルをダウンロードし、表計算ソフトに追加する作業を行っていました。 そうした中、Alteryx の導入によって、同社のデータ文化が一変することとなります。 コパ航空のインテリジェンスアナリストである Nuria Saavedra 氏は、当時「正確性を維持しながら迅速にレポートを作成する」という課題に直面していました。 「私たちの部門では、適切な商品を適切な価格・タイミングで適切なお客様にお届けする必要があります」と Saavedra 氏は説明します。

Saavedra 氏は、お客様の行動を分析し、将来のフライト予約における需要を予測することで、重要な意思決定につなげる役割を担っています。 「当社の収益管理アナリストが各フライトの空席状況を日々管理するためには、毎日午前 8 時までにデータを入手する必要があります。 チームは、毎朝 1 億 1,500 万行ものデータを分析しなければならないのです」

価格設定の自動化

コパ航空の価格設定・収益管理チームは、世界中の約 5,000 の市場の運賃を戦略的に決定し、申請する役割を担っています。 各アナリストは、担当する市場ごとに、多数のスプレッドシートファイルに異なるルールや戦略を適用しなければならず、こうした作業は非常に時間のかかるものとなっていました。 さらに、運賃の申告漏れがないように細心の注意を払う必要もありました。

「市場によっては、競争のために価格を引き下げなければならないケースもありますし、反対に、割高な運賃を設定できる場合もあります。 当社ならではの戦略をアジャイルかつ効率的に進めていきたいと考えていました」と、コパ航空のシニアインテリジェンスアナリストである、Isacar Racine 氏は語ります。 Racine 氏は、コストのかかるミスを回避しながら、競合他社の運賃データを分析し、価格設定チームの戦略を適用して、より迅速かつ確実に自社の運賃を設定できるアプリケーションを求めていました。

完売寸前のフライトを予測

コパ航空は、一部のフライトがかなり早い段階で完売になっている点に着目しました。 売り切れ直前にフライトを予約する乗客は、運賃が多少高くてもチケットを手に入れたいと考えるものですが、同社はこうした乗客に座席を販売する機会を逸していたのです。 そこで同社は、どのフライトが完売寸前であるかを特定するシステムを開発したいと考えました。 「当社には、R や Python を扱えるチームがあり、それらを使ってこうしたプロジェクトを進展させることができたのですが、さらなるスピード感が必要でした。 Alteryxを使えば、数百万件のデータを簡単かつ迅速に処理できることは分かっていました」と Saavedra 氏は語ります。

解決策の詳細を説明してください。

データインサイト

この問題に取り組むために、 Saavedra 氏は毎年のフライトの予約データを分析しました。 Saavedra 氏は、当初予約されたフライトと実際に利用されたフライトを示す「Flown(飛行)」データ、乗客が予約したフライト情報を示す「Booked(予約)」データ、そしてコパ航空における各フライトでの需要見込みを示した「Demand(需要)」データを分析に利用しました。

飛行データと予約データは同じデータソースから取得し、同じ方法で集計できますが、需要データはまったく異なるソースから取得する必要がありました。 「まず、予約データや飛行データに対して統合ツールを使用し、その後にそれらのデータを需要データと統合しました。 初回のレポートでは、フィルター、フォーミュラ、集約などの比較的シンプルなツールを用いました」と、 Saavedra 氏。

「コンスタントに最適化できるようになっていることを実感しています。 例えば、後で気づいたのですが、データの集計時には統合ツールを多用する必要はなく、複数フィールドフォーミュラツール 1 つのみで事足りるのです。 こうした変更を加えたところ、パフォーマンスが劇的に向上しました。 Alteryx では、常に学習しながら改善していくことができます。 常にシンプルであることを心がけています。もっと簡単な方法が必ず存在します」(Saavedra 氏)

価格設定の自動化

Racine 氏とそのチームは、コパ航空の価格設定プロジェクトをモジュールに分割し、Alteryx Designer を介してマクロを使用することで価格設定の問題を解決しました。 同氏らは、Transform(変換)、Homologate(承認審査)、Strategy Engine(戦略エンジン)、Validate(実証)、Report(レポート)という 5 つのモジュールを開発しました。 次に、価格設定チームに各モジュールのテストするように依頼し、テスト結果を基に調整・再実行しました。 「こうすることでエラーを簡単に特定し、プロジェクトでどのような成果を上げているかが明確になりました」と、Racine 氏。

各モジュールの役割は次の通りです。まず、変換モジュールで、運賃に誤りがなく、データセットやデータ型が適正であるかどうかを確認します。 次に、運賃規定は航空会社によって異なるため、承認審査モジュールで、他の航空会社の運賃規定をコパ航空に適用・変換し、整合性が取れているかどうかを確認します。 その後、戦略エンジンモジュールで、価格設定チームが各市場に対して採用している戦略を、アプリケーションが処理する運賃に適用します。 そして、実証モジュールで、各市場で設定したルールが守られているかどうかを確認します。 最後に、レポートモジュールで、価格設定チームと各市場のコーディネーターに結果をメールで送信します。

「あるアナリストは戦略エンジンモジュールで作業、別のアナリストは実証モジュールで作業、といった具合に分担できるようになりました。 誰かが変換モジュールで作業している場合、誰もがその出力結果を確認できるので、承認審査モジュールの担当者が並行して作業を進めることができるのです」と Racine 氏は付け加えます。

「戦略エンジンがプロジェクトのカギです。 マクロを修正しなければならない場合を想定し、誰もが理解できる形でマクロを組んでいます。 また、ある市場で間違った運賃が設定された場合など、何か問題が発生したときにエラーを出すテストツールも欠かせないものです」と、Racine 氏。 今では、価格設定アナリストが Server 上でワークフローを実行するだけで、事前に設定した戦略に基づいて結果を得られるようになっています。

完売寸前のフライトを予測

コパ航空の予約システムでは、どのフライトも出発の 330 日前から予約可能になります。 今後の需要を予測するには、フライト全体の予約曲線を把握する必要がありました。 「当社の収益管理システムでは、入札価格、残席数、予約の速度など、すべてのフライトでさまざまな変数が用いられています。 当社は、Alteryx の予測パッケージを使用してデータにモデルを適用し、どの変数が最も予測に役立つかを検証しました。 さまざまなモデルをテストしましたが、コードを書く必要はなく、ドラッグ & ドロップで進められるので、とても簡単でした」と、Racine 氏は語ります。

Racine 氏のチームは、事前に開発したアルゴリズムの結果を、完売の可能性が高いフライトの表とともに各アナリストに送信するマクロを開発しました。 これによって、アナリストは完売を防ぐために必要な調整を行い、 完売直前にフライトを予約するお客様から収益を得られるようになりました。

Alteryxを使用して達成したメリットを説明してください。

Alteryx は、コパ航空がこれまで失っていた収益を獲得するのに役立っただけでなく、同社のデータ処理方法にも革命をもたらしました。 「Alteryx から得られる効果は絶大で、すぐに社内に広まりました。 今やあらゆるチームが Alteryx を愛用しています」と、Saavedra 氏は言います。 Racine 氏は、Alteryx の柔軟性も満喫しています。 「私がこのアプリケーションの開発を始めたとき、価格設定に関する知識はまったく持ち合わせていませんでした。 間違いを恐れる必要はないのです」と、同氏は付け加えます。 Alteryx Predictive パッケージを使用することは、アナリストにとって簡単なことでした。 「R や Pythonで作られたモデルと似ていたので、アナリストにはなじみがありました」と、Racine 氏。

「データ量は、Alteryx にとって問題ではありません。 Alteryx Server で、今後のフライトに関する 3 億行以上のデータを処理していますが、わずか 1 時間半ですべての工程を完了できます。 ですので、今ではアナリストが出勤した際に、どのフライトが完売寸前かを知らせるメールがすでに届いており、即座にアクションを起こすことができるようになりました」と Racine 氏は締めくくります。

 

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