多くのExcelユーザーにとって、ピボットテーブルは欠かせない機能なのではないでしょうか。ピボットテーブルは、合計や平均などの基本的な統計情報を迅速に集計し、データをわかりやすい形で表示できる便利な機能です。ただし、データにピボットテーブルを適用するためには、スプレッドシート内のデータを並べ替える(ピボット解除を行う)必要がある場合があります。
Excelでのデータのピボット解除は、複数の列に分かれて並んでいるデータを行として再配置することを指します。この作業を行うことで、各列の見出しが1つのキー列にまとめられ、それぞれの列の下にあるデータが対応する行として展開されるようになります。
これにより、データを新たな視点で可視化し、各列の見出しとの関連性をより明確に把握できるようになります。また、選択された列のデータ型が異なる場合、見やすさや扱いやすさを向上させるために、自動的に共通の形式に変換されます。ピボット解除は、データを横に広げるのではなく、データを縦に並べ替える手法であるため「データのフラット化」とも呼ばれています。
Excelのデータをピボット解除する理由
ピボット解除を行うことで、データ構造の柔軟な再編成が可能となり、計算列を追加することなく、レポートをインタラクティブに活用できるようになるため、データの管理がより簡単で効率的になります。Excelでデータをピボット解除することで、以下のようなメリットも得ることができます。
- 特定の列見出しとデータの関係性を確認
- データ間の共通点や違いを特定
- 大量の数値データを迅速に計算
Excelでデータをピボット解除する方法
では、Excelでのピボット解除はどのように行うのでしょうか?ある学校のクラスで、生徒が代数学の授業で毎月テストを受けており、各生徒の成績を詳細に分析したいとします。こうした場合に、月ごとにデータが別々の列に分かれている(つまり、データが「横に広がっている」)と、このままでは分析できません。このようなデータからピボットテーブルを作成すると、テストの成績が9つの月ごとに分かれて表示されることとなり、年間の合計を計算するなどの用途に利用できないからです。
このように、Excelで月ごとのデータがそれぞれの列に分かれている場合、扱いやすくするためには、データを「縦に長く」並べ替える、つまりピボット解除を行う必要があります。具体的には、すべての月を1つの「月」列に統合し、それに対応する各生徒の月ごとのテスト点数を表示する新たな列を作成します。
ではどうやったらピボット解除を行えるのでしょうか?まず、データをピボットテーブルに変換します。最も簡単な方法は、[CTRL] + Tを押すことでテーブルを作成できます。
テーブルができたら、「データ」タブにある「データの取得と変換」グループから「テーブル/範囲から」を選びます。
これにより、ExcelでPower Queryエディターが開きます。Power Queryエディターで「名前」の列を右クリックし、「その他の列をピボット解除」を選択します。
すると、月ごとにテストの点数がまとめられた新しい列が作成されます。その後、列の一番上で右クリックして、新しい列に新たな名前を設定します。
新しい列の名前を設定したら、画面左上の「閉じて読み込む」をクリックするだけです。これで、Excelのピボットの基礎となる別のシートが作成されます。例えば、学生が夏季講習を受けることになった場合、そのデータを追加したいときには、元のデータシートに情報を追加し、新しいシートでデータをピボット解除を行った後に、そのシート上で右クリックして「更新」を選択すると、最新のデータが反映されます。
次のステップ:ピボットテーブルを適用する
これでExcelのデータをピボット解除し、ピボットテーブル作成に適した形式に変換できました。ここではピボットテーブルの詳細な作成方法には触れませんが、ピボットテーブルを作成する際に最も重要なのは、データから何を知りたいのか、その目的を明確にすることです。ピボットテーブルを作っても、ビジネスに関連する重要な問いに答えられなければ意味がありません。例えば、今回の例では、学生のデータを基に月ごとのテストの平均点を分析し、特定の科目で学生がどの程度苦戦していたかを確認するといった使い方が考えられます。
データのピボット解除やピボット機能は、もちろんExcelに限ったものではありません。SQLサーバーを導入している多くの業界で『Pivot SQL』機能が使われています。SQLでのピボット処理はクエリ言語を使うため、Excelでのピボットとは見た目や手順が大きく異なりますが、最終的に目指す目的は同じです。
Excelのデータのピボットおよびピボット解除機能からの移行
Alteryxでは、使いやすいピボットテーブル機能を徹底的に追求しています。Excelのピボットやピボット解除機能は非常に強力ですが、大容量のデータを扱うと動作が重くなりがちで、ギガバイト単位のデータの処理には適していません。そこで、Designer Cloudでは、馴染みのあるピボットテーブルを、視覚的かつ直感的な操作性を備えたインターフェースでインタラクティブに活用できる機能を提供しています。これにより、複雑な操作不要でピボットテーブルの多面的なビューを活用し、Excelで複数のピボットテーブルを作成する手間を省きながら、データのピボット解除による集計の利便性を享受できます。
データの追跡や管理が一層重要視される中、Excelでのピボット解除の利用は減少しています。Excelでは、誰がいつどのような変更を加えたかを追跡するのが非常に困難だからです。その点、Alteryxでは、すべての変更が画面の右側に常に表示され、簡単に確認することができます。
特にExcelの使用が減少していると考えられる分野は金融サービス業界と銀行業界です。これらの業界では長年、業界のトレンド分析や重要な計算、たとえば「貸倒引当金(ALLL)」などがExcelで行われてきました。
四半期ごとの財務諸表で最も重要な指標の一つであるALLLは、銀行が不良債権に備えて確保している金額を示し、利益や資本に大きな影響を与えるものですが、この計算はほぼ専らExcelで行われてきました。
Excelは強力で使いやすいため、長年業界標準とされてきました。しかし、金融業界だけでなく他のセクターでも、Excelがデータセットのサイズ制限だけでなく、他の問題も抱えていることが明らかになっています。推定ではスプレッドシートの約90%にエラーが含まれており、同僚間でファイルをやり取りする過程で管理が行き届かず、問題が悪化しがちであることが指摘されています。2012年にJPモルガン社で起こった約20億ドルの損失も、単純なExcelのコピー&ペーストミスが原因でした。
金融サービス業界では、厳格な監査や規制報告のニーズから、データの容量制限に関わらず、データの追跡や管理ができる環境が求められています。Alteryxを使えば、データの追跡が簡単になり、重要なデータをリアルタイムで把握できるようになります。
Designer Cloudは、Excelのピボット解除機能をどのように変革するか
Alteryxは予測的で視覚的にも優れたピボット変換機能を提供していますが、ここではExcelでデータをピボット解除する方法に焦点を当てます。Excelのピボット解除機能は、データ入力段階から分析段階へ移行する際に良く用いられます(例:データの正規化)。データ入力時には、各キー(例:名前)に対して1行、データポイント(例:勤務時間)に対して1列を割り当てるのがもっとも扱いやすい形式です。ただし、このような形式はデータの記録には適しているものの、集計や合計が困難になりがちです。
このような場合に、Designer Cloudを使うことで、複数の列を「キー」と「値」の2つの列にまとめ、データを簡単に再編成できます。キーは元の列の名前を指し、値はその列に含まれるデータです。この操作を行うことによって、各列に対してデータの行が複製されます。つまり、ピボット解除機能を同時に複数のExcelのデータ列に適用し、すべての列を「キー」と「値」の形式に変換できます。このようにデータを整理することで、新しい集計や分析が可能となり、新たなインサイトを得られるようになります。Designer Cloudは、Excelのピボット解除機能の課題を解決する強力なソリューションであり、データの効率的かつ正確な整理に大きな力を発揮します。
Designer Cloudには、ピボットやピボット解除機能に加え、Tableauのようなダッシュボードソリューションに直接エクスポートできる機能が搭載されています。Designer Cloudは、Tableauユーザーのニーズを徹底的に考慮して設計されており、ピボットやピボット解除の重要性を踏まえ、Excelの煩雑な操作を必要とせず、より簡単かつ迅速に結果を確認できる仕様となっています。
もし、Excelでのデータのピボット解除を効率的に行う方法をお探しなら、ぜひAlteryxの無料トライアルをお試しください。