最新のデータとテクニックを用いて、Excelのデータをクリーニングする方法

テクノロジー   |   Bertrand Cariou   |   2024年10月29日 読了時間の目安:9
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分析の質は、その基盤となるデータの質にかかっています。そのため、Excelでのデータクリーニングは非常に重要です。エラーや不整合の多いデータは重大な問題を引き起こしかねないことから、最近の調査では、20%のITおよびデータリーダーが「データの質の低さ」を最も重要な課題の一つとして挙げています。

データのクリーニングは、データ分析に必要な質の高いデータを得るために欠かせないプロセスです。誰も、誤った結果が出たり、さらに悪いことにそのミスが見逃され、不本意な経営判断へとつながることは望んでいません。

Excelのデータクリーニングとは?

Excelのデータクリーニングとは、分析に先立ち、生データを整理し、不正確なデータを除去し、欠損値を補完するプロセスです。正確で有益なインサイトを得るためには、クリーンなデータの使用が不可欠です。

データクレンジングは、データを分析やレポートに適した状態に整えるデータ準備の一環です。また、データ準備には以下の工程も含まれます。

  • データ探索:データセットから思いがけない発見を得る。
  • データブレンディング:複数のデータセットを結合して新たな発見を得る。
  • データのプロファイリング:質の低いデータが結果に影響を及ぼす前に特定し、対処する。
  • ETL(抽出・変換・書き出し):さまざまなソースからのデータを集約する。
  • データラングリング:データを分析モデルに適した形に整える。

クリーンなデータの構成要素とは?

  • 正確性:正確なデータとは、実際の値や現実世界の事象を正しく反映しているデータを指します。情報に誤りがなく、データが本来の意味や状態を的確に表していることが重要です。
  • 一貫性:一貫したデータとは、複数のデータセットや異なる期間においても形式や測定単位が統一されているデータを指します。クリーンなデータでは、すべてのデータが常に同じ形式や単位で表示される必要があります。
  • 完全性:完全性とは、必要な情報がすべて揃っていることを意味します。データが不完全で重要な情報が欠けている場合、結果に悪影響を与える可能性があります。分析の際には、欠損値を補完したり、不足している情報を考慮する必要があります。
  • 均一性:均一性は、データが同じ単位や形式で統一されていることを意味します。均一性を保つためには、測定単位の統一、日付形式の整合性、カテゴリーごとのラベル付けなどが求められます。
  • 有効性:有効なデータとは、データ値が事前に定められた範囲内で、期待されるパターンに沿っていることを指します。例えば、年齢の有効な範囲が0~120歳の場合、検証ルールを適用してその範囲内であることを確認します。これにより、外れ値や誤ったデータが結果を歪めるのを防ぐことができます。

Excelでのデータクリーニングの手法

多くのビジネスアナリストがExcelでのデータクリーニング方法を学んでいますが、データクリーニングのテクニックは多岐にわたるため、継続的な学習が求められます。そこで、アナリストの皆様がデータクリーニングの基本を学び直したり、新たな知識を得たりできるように、Excelでのデータクレンジングにおける代表的な手法と、その手順をまとめました。

重複データの削除

Excelで最も簡単なデータクレンジングテクニックの1つは、重複を削除することです。複数のデータセットやデータベースからデータを統合する際、重複が発生することがあります。また、さまざまなソースからデータをコピー&ペーストする際にも重複が起こりがちです。重複データはユーザーが気づかないうちに存在していることが多いため、データをクリーンに保つためには、重複を確実に取り除くことが重要です。以下に、Excelで重複データを削除するための簡単な手順をご紹介します。

  1. 重複をチェックしたいセル範囲を選択します。
  2. ツールバーから「データ」をクリックし、次に「データツール」リボンにある「重複の削除」のオプションを選択します。
  3. 「OK」をクリックします。

余分な空白を取り除く

データに含まれる余分な空白を取り除くために便利なのが、ExcelのTRIM関数です。この関数を使用すると、単語の前後にある空白だけでなく、単語間の余分な空白も削除できます。Excelで空白を取り除くことは、単に見た目を整えるだけでなく、VLOOKUPなどの関数を使用した際に正確に値を取得するためにも重要です。以下にその手順を説明します。

  1. TRIM関数は単独で使うこともできますが、VLOOKUP関数と組み合わせて使用することで、余分な空白を削除しながら検索値を正確に見つけることができます。この組み合わせを使えば、空白が原因で検索が正しく行われない場合でも、正確に一致する値を見つけ出すことが可能です。
  2. VLOOKUPとTRIM関数を一緒に使用する場合、次のような構成になります。
    1. TRIM + 検索する値(余分な空白を削除した検索値を指定)
    2. 検索範囲
    3. 返すべき値が含まれている列
    4. 完全一致(0)

テキストの検索と置換

検索と置換は、データクレンジングに欠かせない機能です。特に、データセット内で同一項目が複数の異なる表記で記録されている際に、それらを統一するのに役立ちます。このような場合に、検索と置換を使用することで、異なる表記を一つひとつ標準的な表記に修正していくことができます。

  1. セルまたは列を選択
  2. ホームタブに移動し、「検索と置換」を選択
  3. 「検索する文字列」のボックスに、探したい値を入力
  4. 「置換後の文字列」のボックスに、置き換えたい新しい値を入力
  5. シート全体に対して置換を適用したい場合は、「すべて置換」をクリック

データクリーニング時に、Excelの「検索と置換」機能を使って空白セルを処理することもできます。空白セルが「0」などを表すはずだった場合、そのままではエラーとして認識されたり、最終的な分析から除外される可能性があります。

  1. 空白セルをすべて選択するには、まず「ジャンプ」ダイアログボックスを開き、「セル選択」で「空白セル」を選択します。
  2. 空白セルが選択された状態で、「Ctrl + Enter」を押すことで、すべての空白セルに統一した値(「0」や「N/A」など)を入力できます。

誤字・脱字のチェック

データの正確性を保つためには、スペルミスやタイプミスを常にチェックすることが重要です。以下の手順でExcelのスペルチェック機能を活用できます。

  1. スペルミスやタイプミスをチェックしたいセル、列、またはシート全体を選択します。
  2. 「校閲」タブをクリックし、「スペルチェック」のオプションを選択します。
  3. Excelがスペルミスを検出すると、修正案が表示されます。提案に同意する場合、「変更」をクリックすることで、修正が適用されます。

形式を揃える

Excelでデータの形式を揃えることは、データクリーニングの重要な課題の一つです。ほとんどのデータベースには構造化されたデータが含まれていますが、時折形式が誤って認識されたり、形式に不一致が発生することがあります。このような場合、問題のある形式を他の形式に変換することで解決できます。以下に、Excelでデータの形式を揃える2つの方法をご紹介します。

  1. Excelの「セルの書式設定」ツールを使用する方法
    1. 変更したいデータ範囲を選択
    2. 右クリックして「セルの書式設定」を選択
    3. 必要に応じて、数値、日付、通貨などの表示形式を調整
  2. Power Queryを使用してデータ型と形式を自動検出・変更する方法
    1. Power Queryにアクセス
    2. データソースを選択
    3. 「クエリ」タブの「編集」をクリック
    4. 対象の列を選び、「変換」タブの「データ型の検出」をクリック
    5. ドロップダウンメニューからデータ型または形式を選択

空白セルの管理

空白セルを処理するためにはさまざまなアプローチがありますが、まずそのセルがなぜ空白なのかを理解することが重要です。以下は、Excelで空白セルを処理する一般的な方法です。

  1. 空白セルの削除
    1. 削除したい範囲を選択
    2. 選択した範囲を右クリック
    3. 「削除」を選択し、セルを上または左にシフト、もしくは行や列全体を削除するオプションを選択
  2. 条件付き書式
    1. ホームタブの「条件付き書式」を選択
    2. 「新しいルール」を選択
    3. ルールの種類を設定
    4. 空白セルをどのように書式設定するかを指定
  3. フィルターを使用
    1. ホームタブの「編集」から「フィルター」を選択。
    2. フィルターかけたい列にフィルターを追加する
    3. 該当する列のデータ矢印をクリック
    4. 「空白」のみチェックを入れる

列の分割と結合

データセットを複数の列に分割する必要がある場合、Excelの「区切り位置」機能を使うことができます。手順は以下の通りです。

  • 分割したいデータ範囲を選択
  • 「データ」のタブをクリック
  • 「区切り位置」を選択
  • 表示されたウィザードの指示に従い、データを分割するための区切り記号を指定

複数の列を一つに結合することも、Excelでデータをクリーンアップする効果的な方法です。「CONCATENATE」関数、またはアンパサンド(&)を使うのが最も簡単な方法です。

セルの内容を隣接する列に分割する

Excelでデータクリーニングを学び始めた際によく直面する課題の一つとして、セル内に過剰なデータが記録されており、セル内に含まれる複数の要素を分割して隣接する列に配置し直す必要があるケースがあります。例として、センサーデータの日付と時間が1つのセルに含まれている場合、それらを2つの列に分けることでデータの扱いが容易になります。以下にその手順を説明します。

  1. 分割したいテキストが含まれているセル、範囲、または列全体を選択します。
  2. 「データ」タブの「データツール」グループ内にある「区切り位置」をクリックします。
  3. 「テキストを列に変換ウィザード」の指示に従い、どのようにテキストを分割するかを指定します。

Excelにおけるデータクリーニングの課題

長年にわたり、Excelは信頼性の高いデータクリーニングツールとして多くのビジネスユーザーに活用されてきました。

しかし、データ量が増加し、その複雑さが増す現代のビジネス環境において、Excelでは限界があることがわかってきています。アナリストがデータに精通し、修正が必要な部分や取り除くべきエラーを特定できる場合、Excelでも効果的にデータクレンジングを行うことが可能です。しかし、馴染みのないデータ形式が用いられている場合、異常な数値や日付を特定することは困難になりがちです。特に、複数のスプレッドシート間でデータの一貫性を確認する必要がある場合、Excelでの作業は手間と時間がかかる一大プロジェクトとなります。

こうした課題に直面する中で、アナリストたちはExcelに代わる新たなデータ準備ソリューションに注目しています。これらのソリューションは、データの変換をインテリジェントに提案し、エラーを視覚的に検出する機能を備えており、データの一貫性や正確性を迅速に維持することが可能です。これにより、従来の手作業に頼ることなく、柔軟かつ操作性に優れたインターフェースを通じての、効率的なデータクリーニングが実現します。

Excelに代わる時短データクリーニングの手段

データの品質が十分でないと、分析結果が正確でなくなったり、誤った結論に至るリスクがあります。

シンプルなデータセットに対しては、Excelでのデータクリーニングも有効ですが、最新のデータ準備ソリューションは、より大規模で複雑なデータを効率的に処理できるスマートな方法を提供しています。

Alteryxは、このようなデータクレンジングの課題に対応するために設計されており、ユーザーがデータセットの各要素をクリックするだけで、データをインタラクティブに探索し、どの部分をどのように変換すべきかを簡単に判断できます。Designer Cloudでは、Excelでのデータクレンジングのように一つ一つ手順を踏む必要はなく、データ変換が自動的に提案され、ユーザーがその内容を確認・編集できるようになっています。これにより、よりクリーンで精度の高いデータをこれまでになく短時間で手に入れることができます。

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