データサイエンスでコロナウイルスに対抗する 11 の方法

テクノロジー   |   ANDY DÉ   |   2020年3月31日 読了時間の目安:6
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以前の記事で、医学は100年以上前からデータサイエンスを活用し、疾病がもたらす最大の課題を解決してきたことを紹介しました。初期の医学界におけるスーパーヒーローたちは、感染源の特定、新薬の開発支援、治療プログラムの有効性証明など、あらゆる面から病気に立ち向かってきました。そして今日では、データサイエンスの活用によって治療の成果を向上させるという、新たな方法が登場しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)の対策においては、さまざまなユースケースが議論されており、そのいくつかは実際に導入されています。 今回は、その中でもぜひ押さえておきたいユースケースをご紹介します。

 

医療現場における実践的なユースケース

人工知能(AI)を活用した創薬

Sage Health社が最近開催したオープンソースの創薬コンテストでは、機械学習を用いた潜在的な治療法が上位3位を占めることとなりました。また、多数の創薬企業がAIの活用によって、COVID-19対策に有効な新規および既存の分子を発見しています。例えば、既存薬であるレムデシビル (元々はエボラ出血熱の治療薬として開発) は、COVID-19の治療薬として、さまざまな臨床試験でその有効性が確認されています。また直近では、ホワイトハウスと主要研究グループが共同でオープンソースの募集を開始しています。興味のある方は、こちらから詳細をご覧ください

自動体温スキャンとマスク検出機能を備えた顔認識カメラ

中国では、混雑した施設への入場時に政府の職員が来場者の体温を測定しています。体温が高い人はさらにスクリーニングを受けることとなり、必要に応じて治療や隔離などの措置がとられています。さらに、多数のカメラの設置によって個人を識別することで、(一部の国では公共の場で義務とされている) マスク着用の有無を検知し、検疫を強化させています。

Fitbit による感染拡大の追跡

2020年2月にLancetに掲載された論文において、研究者たちは、ウェアラブル端末 (Fitbitなど) を感染拡大の追跡に役立てることができるのではないかと問いかけました。この研究はCOVID-19に特化したものではありませんでしたが、個人の安静時の心拍数の変化を監視・分析することで病気の広がりを追跡するという強力な可能性を世に示すこととなりました。また、一部のウェアラブル端末には、血中酸素飽和度センサー、心電図モニター、咳の認識といった情報の収集機能を備えているものもあり、これらの機能を応用する手段も検討されています。

携帯電話による感染拡大予測と高リスク者の封じ込め・隔離

韓国、中国、イタリアなどでは、スマートフォンのアプリケーションを個人の検疫管理に役立てています例えば中国では、感染発生地の予測に、携帯電話のデータが活用されています。携帯電話の位置情報サービスを用いることで、病気の感染者のこれまでの行動を追跡し、他の人が感染している可能性や、どの地域で感染が起こる可能性が高いかを把握することが可能になります。中国政府は、こうしたデータをモデル化することで、リスクの高い地域地域 (近隣地域や都市) や、予防的に隔離すべき個人を把握しているのです。そして米国においても、このようなデータの活用が検討されています。

情報の迅速な発信

政府、企業、NGOの間で迅速にデータを収集し、共有するために数々の取り組みが行われていますが、このようなコラボレーションが大きな効果を上げている事例をご紹介します。台湾では、政府が感染者の渡航履歴を各医療機関にスピーディーに提供することによって、感染拡大リスクのより適切な評価を実現しています。また、感染者が訪れた場所などの情報を公開し、同じ場所を訪れた人々に対し、必要に応じて自己監視と自主隔離を行うよう求めています。

CT スキャンの AI 診断

患者の肺のCT画像を解析し、COVID-19感染の兆候を見極めるために、AIベースのソフトウェアが活用されています。

 

ビジネスにおけるアナリティクスの活用例

サプライチェーン分析

医療用品のサプライヤーや政府機関は、人口密度や現在の感染症発生状況に基づいて、どの病院が最も需要が高いかを予測していますが、企業も同様にサプライチェーンに目を向けています。 分析主導の企業では、感染リスクの高い地域や隔離地域から供給される製品を分析し、事前に承認された部品や材料の代替品を迅速に特定することで、製品や材料の供給プロセスを再設計しています。 こうしたことが医療用品の供給においてだけでなく、あらゆる産業分野で行われています。

需要の調整

在庫リスクを特定できれば、商品の変更や割引などで需要を調整し、在庫バランスを整えることが可能となります。 このような戦略は、マーケティングの最適化と組み合わせることで、困難な時期にビジネスを前進させ続けるための強力な手段となります。

財務予測

多くの企業が分析主導での財務予測を行うようになっており、中には経済指標を活用して、販売サイクルの大幅な変化を早期に見定める取り組みを行っている企業も存在します。 前例がない場合、このような取り組みには困難が伴いますが、パンデミックに際してこれらのモデルがどのように機能するかは興味深いところです。

スケジューリング

さまざまな企業や医療機関が、アナリティクスを利用して、新たな需要や急速に変化する制約に応じたスケジュールの最適化を迅速に行っています。 リスクの高い患者を特定したり、今後の手術のスケジュールを変更する必要がある医療機関や、需要の変化にすみやかに対応しなければならない小売業者などにとって、アナリティクスは効率的かつ効果的な行動を取るために不可欠なものとなっています。

 

台なしにされたデータサイエンス

遊ばれたシステム:意図しない分析結果

COVID-19の発生後、中国の学生たちは、隔離期間中に指導や課題を受けるためにDingTalkというアプリをダウンロードするように指示されました。ほどなくして、生徒たちは、皆でアプリの評価を下げれば、Ding Talkがアプリストアから削除されるかもしれないということに気付いたのです。2020年2月11日、このアプリには1日で15,000件以上の星1つのレビューが寄せられ、評価は星4.9から1.4にまで下がりました。これは評価システムの本来の目的とは異なりますが、評価が分析プロセスの一部となることを見越した非常に賢い挙動であると言えます。そしてその対策として、DingTalkは生徒たちからの評価を勝ち取るために、ユーモア溢れる謝罪動画を発表したのです。最終的にこのアプリは存続し続けることになりましたが、この一件は、分析がどのように利用されるのか、それによって意図しない影響が起こり得るということを常に考慮すべきだということを教えてくれます。

データサイエンスは、スケジューリングの最適化、パンデミックがシステムに及ぼす影響の把握、重要なアイテムの適切な在庫レベルの確保などにデータをすばやく活用したい医療機関や、社会的な変化の影響を受ける可能性のある企業などが、より効率的に対応することを可能にします。

Alteryx では、あらゆる分野の企業が、アナリティクスの活用によって、収益、業務効率、コストなどにおいて、 2 桁単位での改善を実現するケースを多く目にしてきました。 さらに注目すべきは、アナリティクスが人々の生活に大きな変化をもたらし、時には命を救うこともあったという点です。 また、こうした企業の多くが、セルフサービスのツールによって新たな分析を素早く作成・実行し、最近の様々な事象に素早く対応することができるソリューションを最大限に活用しています。

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